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ちづのひと、ちづのくらし「脈脈」

2014年、新聞記者時代に初めて智頭町を訪れました。仕事で町を周り、プライベートでは森のようちえん(園舎がなく、1日を森の中で過ごす幼稚園)に息子が通うように。そうして距離が近くなればなるほど、この町に惹きつけられている自分に気付きました。その理由はずばり「人」でした。

自然豊かなこの町には移住者も多く、古き良き文化と新たな風が調和しながら暮らしが成り立っています。そこでたくさんの人に出会うたび、視点や思考、経験や価値観が違うから当たり前かもしれませんが、それぞれが語る言葉を聞き、驚きや発見の連続でした。

このことは、僕にとって大きな転機となりました。新聞社をやめてフリーランスとなり、この町の人が持つ魅力を伝えたいと思ってはじめたメディアが「脈脈」です。

野菜作りをする女性は「苦手な人も私を磨いてくれる人だと思うの。月はいつも丸いけど、人が見るのは見えている形だけじゃない?人もまん丸だけど、自分の心の陰で見えなくなる」。いつも前向きな理由がわかりました。鍛治職人の男性は「誰が、いつ、何を切るのに使う包丁か。誰かのことを、その先にある風景をイメージしないと良い品物はできない」。ものづくりの心を教えてくれました。

その人だけが持つストーリーは、どれも素晴らしい。それは、なにも特別なことばかりではなく、なにげない日常の中に静かに存在することも。だからこそ、かしこまった取材というよりも、暮らしの中で触れ合う中で、そっとそこにいる人やそこにある暮らしの一編を紡げたらと思っています。

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PJ
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脈脈
Self Project
編集(写真・文)
https://myaku-myaku.com