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MOLESKINEのノート

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MOLESKINEのノート

今から遡ること8年。2013年のバレンタインに、妻が一冊のノートを贈ってくれました。ノートのプレゼントというのは生まれて初めてのこと。そのシンプルで黒い「MOLESKINE」の分厚いカバーとその重量感に、何を書けばいいのか迷いつつ、1ページにはこう書きました。

「心を豊かにするノートとして・・・」

人生で成し遂げたいこと、いつかほしいもの、本で読んだ誰かの名言、頭の中に浮かんだアイデア、気になった料理のレシピ、いつか取材したい人リスト・・・。とにかく自分の中にストックしたいものは、すべてこのノートに書いてきました。けっこうなページ数があったので、まだまだ余白があると思っていたのに、ここ数年で書くペースが上がり、気づけば現在は2代目に。

このノートがあったおかげで、僕はいつしか迷った時や頭の中を整理したい時は、とにかく文字にするようになっていました。特に、2年前に新聞社を辞めてフリーランスになるまで、4年半の間、悩みに悩んだ時期を過ごしていた頃、理想と現実の狭間で揺れていた僕は、答えの見えない問題を解くために、いつもノートを開いていました。今見返すと、何度も何度も同じようなことを書いていて、きっと書く行為を通して、何度も自分に言い聞かせていたんだろうなぁと思います。

そんな戦友とも言える「MOLESKINE」。初代は止めゴムがすっかり伸びるほど使い込みましたが、今も取ってあり、たまにレシピを見たりして使っています。2020年から使い始めている2代目にも変わらず、いろいろ書いています。簡単なメモはiphoneを使うこともありますが、何かを考える時には必ずこのアナログなノートを使います。それだけ、書くという作業が僕には大事だったりします。

面白いのが、年齢や時期によっても書くことは変わっていくもの。この時はこんなことを考えていたんだなぁと振り返ることも面白いものです。その時に、何を書くかはその時の自分次第。これからも「こうなったら嬉しいなぁ」と思えることを書いていこうと思っています。

藤田和俊

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